国学院大学ブックプロジェクト「みちのきち」ってなんだ?
みなさんこんにちは。
今日もだらだらしてますか?
どうも、だらり庵 庵主のクロギタロウです。
出会いはあまりにも突然でした。
電車待ちの空き時間にふらりと立ち寄った駅ナカの書店で、庵主は随分と目を引く本を見つけたのです。
タイトルを『みちのきち 私の一冊』といいます。
真紅の装丁に色気を感じ、手をのばしてみると、なんということでしょう。
天、前、地、裁断面の三方すべてワインレッドに染まっているではありませんか。
しおり紐まで!
(撮影場所は庵主の太ももの上です)
ナニコレ。
「天金」や「三方金」など、金箔を押して装飾をほどこした壮麗な本はよくありますが、金にさらにワインレッドが重ねられているものを目にしたのは初めてです。
しかし本当の驚きの瞬間は、ページを開いた時におとずれました。
「おぅ!?」と変な声が出るほどの衝撃はしる。
しばらく開いた口がふさがりませんでした。
庵主の目に飛び込んできたのは、美しく佇む本の写真(こちらは中身になるので、ちょっと掲載できません)
真っ白な背景に本が一冊。
中でお薦めされている本、もしくは本の紹介者に関係のある小物を添えて撮影された写真たちは、どれも素敵の一言。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、庵主は本を写真と文章で紹介するために、日本各地を彷徨する者(普段は姫路、加古川を活動の中心にしています)
庵主と同じように本の写真を撮る人がいるなんて、あまつさえこちらは本まで出されている。
いったいどんな人がこの本を作ったのかと、庵主が震えるのも無理からぬこと。
慌てて奥付を見てみると、”國學院大学みちのきちブックプロジェクト編”とあります。
大学?
どうして大学がこんなニッチな本を???
なんでだろう。
うーん。
気になるなあ…。
「みちのきち」ってワードも気になる。
道? 未知?
基地? 既知? 機知?
ひらがな表記に想像をかきたてられます。
こいつぁ面白そうじゃねえか…。
國學院大学…東京か…。
ふむ。
ハイッ!!!
というわけで、やってきました國學院大学渋谷キャンパス。
どうですこのフットワーク。
思い立ったら即・行動。
全然だらだらしていないけど、だらり庵です。
どうぞよろしくお願いいたします(そろそろだらだらしなければいけないという焦燥に駆られています)
ということで今回のだらり庵は、読書文化の未来を想う國學院大学発のプロジェクト「みちのきち」に触れてきたぞ!です。
早速いってみましょう!
……。
関係ないけど、学術メディアセンターの未来感がオーバードライブしている…。
ハイセンスすぎる。
なにここ本当に大学ですか?
「みちのきち」とは
”本を身近に感じて欲しいという想いから、國學院大学で発足したプロジェクトです。読書に親しむ空間として大きな本棚を創り、そしてこのたび様々な分野で活躍する方が若者に薦める本を紹介する本書の発行に至りました。5文字のひらがなに込めた私たちの想いは本書のなかにあります”(『みちのきち 私の一冊』カバー見返しより抜粋)
「みちのきち」は平成29年の4月、大学構内の学術メディアセンターに設けられた、気軽に本と触れ合えるオープンスペースです。
授業の合間に気軽に立ち寄れる空間には、ブックディレクター幅允孝氏を中心に厳選された本たちが美しく陳列されています。
若い世代の本離れが指摘されるのは今に始まったことではないですが、ふとした瞬間に訪れることのできるこういう場所が学内にあるのとないのとでは、随分本との距離が変わってくるのではないでしょうか。
本を読むもよし、本について友人と語るもよし、美しい本をぼーっと眺めるのだっていいかもしれません。
空間を体験する、というのは今のところスマートフォンでは体験できないことですからね。
身体的な本との繋がりを意識できる場所って素敵だと思います。
いいなあ國學院生。
全景を撮影するのを忘れるというとんでもない失態をしてしまったのですが、大樹に繁る枝葉を思わせる屋根が、外からの視線を遮ってくれるので、来訪者は静かに読書を楽しむことができるようになっています。
屋根のような部分は、実は本棚でした。
この空間は建築家 谷尻誠さんの仕掛けによります。
こういう本の見せ方に対する細やかさも素敵です。
「みちのきち」を巡る
収蔵されている本は様々な分野を横断しており、それぞれの興味関心にぴったりくる出会いが期待できます。
テーマは7つ。
「ものがたり」「食べる」「身体」「日常」「日本の来歴」「神聖なもの」「未知なる場所へ」
本棚には観葉植物の緑も「本の木」をイメージした空間を演出するアクセントとして配置されています。
漫画や絵本もあります。
あら可愛い。
あらダンディ。
ハッとするような装丁の写真集は眺めているだけで楽しいです。
生きることと直結する「たべもの」は人類が永遠に考え続けるテーマ。
お腹すいてきました。
読書は脳の栄養補給ということが言われますが、彼らはどう見ても直にお腹に訴えかけてきます。
さては同センター内の「カフェラウンジ若木ヶ丘」に誘導しようとしているな。
そうそうたるメンバーの中にしれっと混ざる高田純次。
遊び心にくすぐられました。
日常の友人との会話から想起されることはまずない、人間の深淵に踏み込んでいけそうな本も。
ちょっと脳の温度下がります。
翻訳からこぼれ落ちたところに、何があるのでしょうか。
『私の一冊』で紹介されている本も、もちろん。
『私の一冊』は各界の著名人や國學院大學のOBら109人が選んだブックガイド。
紹介者の思い、本の紹介、それから本の写真が見開き2ページで掲載されています。
いかにもこの人らしいな、という本もあれば、なんでこの本を?というものもあり、とても面白い。
本の紹介というと学者さんや評論家といった、いわゆる「お堅い人たち」によるものだという感じがしてしまいますが、本書は実に多様な人たちが選書されています。
アイドル、デザイナー、陸上選手、ダンサー。
正解を提示するのではなく、こんなのもあるよー、というスタンスが読んでいて心地よい。
ジャーナリストの池上彰さんが『君たちはどう生きるか』を選ぶのは、まあ妥当。
紹介者にはアニマル浜口さんもいらっしゃったり。
「気合い」のパフォーマンスに目がいきがちですが、もともとボディービル出身。
実はとても理知的な人なんだろうなと、思います。
紙の本はどうなるのかしら
本棚には、こんな本も。
紙の本、どうなっちゃうのでしょうか。
電子書籍がどうだという思いは、実をいうと庵主には特にありません。
ただただ「紙の本」が好きなだけ。
「紙の本」の可能性を見せてくれた本学の「みちのきち」というプロジェクトは、まだまだ動き出したばかり。
どうなるのかは誰にもわかりません。
でも「未知」へと向かっていく「基地」が立ち上がったことが、純粋に嬉しい。
そう思った庵主なのでした。
さて、今日はこれにておしまい。
今日も素敵な本との出会いに、感謝。
「みちのきち」へのリンクを貼っておきます。
イベントの情報などはこちらで配信されています。
※学外の方の利用も自由となっていますが、撮影に際しては許可をいただきました。
略儀ではありますが、関係者の方々に御礼申し上げます。