香川の素敵な本屋さん「本屋 ルヌガンガ」に行ってきました。
みなさん、こんにちは。
今日もだらだらしてますか?
どうも、だらり庵 庵主のクロギタロウです。
みなさんには気に懸けている方はいますか?
恋人、お友達、知り合い、仕事仲間。
その形はなんであれ、自分の心のどこかしらに、少しでもスペースを占めている人がいますか?
先の週末、僕はいつものごとく本屋さんに行ってきました。
この時本棚を眺めていた僕の脳裏には、いろんな人の顔が浮かんでは消え、浮かんでは消えしていました。
それはみんな僕がどこかで気にかけている人たち。
今まで遊びに行った本屋さんでは、僕は自分のために本を吟味していました。
今回訪れた本屋さんでは、不思議なほど自分というものが奥の方に引っ込んでいました。
それが何故なのか、この記事でそれをゆっくり解きほぐしてみようと思います。
お邪魔したのは、香川県は、高松市の中心市街地にお店を構える「本屋ルヌガンガ」さん。
早速写真と文章で見ていきましょう!
ルヌガンガについて
まず、なんでしょうね、この名前。
僕は最初、何かの怪獣の名前かと思いました。
「ルヌガンガ」この不思議な響きを持つ店名は、スリランカで話されているシンハラ人の言葉で「塩の川」を意味しています。
スリランカの建築家ジェフリー・バワが50年かけて建設した邸宅の名前でもあります。
時間をかけてお店を育てていきたいという想いが込められた店名なのですね(店舗HPより)
本屋さんというのは一朝一夕にはできませんからね。
しっかり時間をかけるというのは本屋さんにふさわしいことだと思います。
本屋ルヌガンガは新刊書店。
本棚では、無条件に並べられたベストセラーではなく、店主の中村さんが一冊一冊丁寧に吟味し、セレクトされた本たちが押しくらまんじゅう。
ひしめく本たちが自信に溢れているような気がしました。
そしてこの予感が正しかったことを、店内を巡るうちに確信しました。
店主との心地よい距離感
この本屋さんの大きな魅力の一つに、店主さんの人柄を挙げたくなるほどに、ルヌガンガ店主の中村さんは魅力的な方でした。
中村さんは3年書店員として勤めた後、10年にわたり本屋さんとは離れたサラリーマンをされていたといいます。
それだけ期間をおいて本屋さんを始めたにも関わらず、ここまで魅力的なお店が作れるのかと、驚きが止みません。
撮影に入る前に店内をひと回りして、購入する本をレジに持って行った時、積み上げられた本を撫でつつ、中村さんが口を開かれました。
「吉田篤弘さん、川上弘美さん、菊池亜希子さんがお好きなのですね」
その優しい声色と眼差し、微笑みにズギュンでした。
店内の撮影をしている際に、よくよく観察しているとレジに本を持ってきたお客さんと必ず言葉を交わされている中村さんの姿に気付きました。
そこで生まれるささやかな交流が、訪れた人にとってこのお店を特別な場所にしているに違いありません。
なんでもインターネット上で対面でのやりとりなしに欲しいモノを購入することのできる時代に、このやりとりは一見非効率的で無駄なものに思われるかもしれません。
しかし、このやりとりを重ねていくうちに、本屋さんがかけがえのない「馴染みの店」になっていくのです。
自分がチョイスした本を選んだお客さんに対して、ホスピタリティを示す姿勢が垣間見える中村さんは、やり手ですよ笑
店内の様子
広すぎず、狭すぎず。
店主の想いが隅々まで充満し、かつ訪れた人が気疲れしない程度の店舗のサイズというのは意外と重要だと思っているのですが、そういう意味でルヌガンガは極めてベストに近いサイズ感であるように思います。
店内の様子を写真と申し訳程度の文章でご紹介したいと思います。
見た目にも素敵な本は心が惹かれますね。
その配置の仕方が絶妙です。
辞典を並べているだけ。
されどこの違いを見せられると、一冊ずつ吟味したくなりません?
店舗でのイベントのお知らせも。
信じられないような数のイベントが行われていることが、カレンダーを見てもわかります。
読書会やトークイベントを通じての、本を読む人たちの繋がりを模索するルヌガンガ、やはりカッコイイです。
店舗の一番奥はひな壇のようになっており、上にいくほど硬さが増しているような気がしました。
各段には靴のままで上がることができます。
こちらは、お店を訪れたお客さんによるポップです。
いいですねえ、このお店でなければならない理由を一つずつ積み上げていくお店の作り方が実に素敵だと思います。
それにしても蛇腹な本って気になります。
なぜか本棚の隣で身長を測れたりします。
店内では飲み物をいただくこともできます。
こちらはお酒ですね(車なので遠慮しました)
なんでしょう、井伏鱒二の「山椒魚」を思わせるようなパッケージですね。
飲んでみたい笑
本棚を見ているとあの人の顔が浮かぶ
ルヌガンガの本棚は、それぞれきちんとジャンルで分けられています。
本棚を眺めているとなぜでしょう、多くの人の顔が浮かんできました。
この本はあの人が読んでいそうだな。
読んでいなくとも、あの人に似合うだろうな。
どの棚を見ていてもそんな本が次々に登場するので、「自分のための本」を選ぶのに一苦労でした。
こんなことは初めてです。
お?
この本、あの人はもう読んだかしら?
そんなことが気になってしょうがない本棚たち。
イベントの多さも、中村さん自らの選書も、全国の本屋さんを見渡してみればそこまで珍しいものではないはず。
しかし、ここルヌガンガでなくては成り立たないこの空気感。
そんなものがこのお店にはあるのかもしれません。
その「何か」を僕はまだつかむことができませんでした。
だからまたこのお店に足を運ぶんだろうなあ、そんな風に思いました。
一つだけ言えるのは、ご主人の中村さんが常にお客さんのことを気に懸けているということ。
アパレルや家電量販店のような、時には圧力のようなものを感じる接客ではなく、寄り添うようなその中村さんの姿勢は、本を選ぶ人たちに安心感のようなものを与えているのかもしれません。
お客さん(読者)のことを心底思ってのおもてなしの心地よさ、ぜひ味わってもらいたいものです。
さて、今回はここまで。
最近瀬戸内地域の本屋界隈がアツいというのは感じましたが、その中にあってもいかにもマイペースで本と人の出会いを後押しするこの姿勢が非常に良かった。
この本屋さんに通うためだけにこの街に住んでもいいな、そう思わせるような素敵なお店でした。
あまりの心地よさに、先日一箱古本市で手放した本よりも多くの本を買ってしまいました笑
ともかく、皆さんにはぜひ足を運んでいただきたいと思う次第です。
さ、今日はここまで。
今宵も素敵な本や、本屋さん、人との出会いに、感謝