Books だらり庵

面白かった本、訪ねた本屋さん、撮った写真なんかについてだらだら綴ります。ごゆっくり。

あなたの「撮っておきの1冊」を教えてください! ホントレート4撮目

皆さん、こんにちは。

今日もだらだらしてますか?

どうも、だらり庵 庵主のクロギタロウです。

 

「人生に寄り添う1冊を楽しむ人の様子を写真に残したい」

そんな想いと共にスタートした撮っておきの1冊「本とあなたのポートレート」、略して「ホントレート」

4回目となる今回は、愛妻家、愛息家、愛犬家と様々な顔を持つようでその実通底した家族愛を誇るブロガーさんに教えてもらった1冊です。

衝撃的なタイトルに面食らいながらも、言葉の端々に見え隠れするのはやはり「愛」だと感じました。

お似合いという、安易な言葉でなく、この人はこの本と出会うべくして出会ったのだと、強くそう思いました。

さ、一体どんな「撮っておきの1冊」なのか、早速教えてもらいましょう。

 

 

お話を伺った人

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まめさん
家族愛に満ち溢れたブログ「Ordinary Life」を運営。この世の奇跡とも言うべきモフモフの愛犬ペキニーズムスカくんの写真が日々多くの人を癒している。その愛くるしさに魅了され、ムスカくんに会うためだけに関西から車で訪ねてくる人もいるとか。オシャレな自宅は随所にこだわりがあり、雑誌に取り上げられるほど。

mame-mofu.hateblo.jp

 

ホラーな内容かと思ってすいませんでした

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人前では読めません。

ホントレートの撮影場所となったご自宅で、穏やかなまめさんが取り出した本のタイトルを見て、ギョッとしなかったと言えば嘘になります。

 なにせ『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』でしたから……。

一瞬登場人物全員ゾンビ化の血みどろバイオレンスだったらどうしようという思いも頭をよぎりました。

ブログへの掲載を自粛せざるを得ないような内容だったら……などとビクビクしながらお話を伺いました。

実際そんなことはなく、本書は自伝エッセイ漫画です(実話ですから当然ゾンビは出てきません)

ずっと自分の暮らす世界にいるものだと思っていた母への突然のガン宣告、闘病、そして別れ。 

母の死後にも当たり前のような顔をして過ぎてゆく日々を生きていく作者自身を描いた作品です。

 

いつか訪れる約束の日を、僕たちは見ないようにしているだけなんだ

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考えたくないことではありますが、目を背けてはならないテーマです。

まめさんがこの本と出会ったのは2017年の夏頃のこと。

Amazonで他の本を購入しようとしていた時にたまたまおすすめに表示され、目に留まったのだそうです。

作者の宮川さんと違い、まめさんはお父上を亡くされていました。

母と父の違いはあれど、共感できる部分があるのではないかと思い、購入に至ります。

親の死という誰もが避けられないテーマでありながら、両親が健在なうちはいつかこの人たちがいなくなってしまうなんて考えもしない人がほとんどだと思います。

実際、まめさんもお父上の闘病前には両親の死について考えたことはなかったそう。

それでも両親の死は、絶対に他人事ではないんですよね。

全ての人に平等に訪れる、いつかの約束された未来なのです。

避けられないテーマを描いたこの本と出会い、まめさんの心境にはどのような変化があったのでしょうか。

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母との時間で後悔だけは残したくない、そう語るまめさんでした。

まめさんのお母上も作中のお母さんとよく似た点もあり、読んでいて共感できる部分も多かったそうです。

かつてまめさんのお母上は脳梗塞を患っており、ごく軽度の後遺症が残った程度で済んだのだそうですが、いつまた再発しないとも限りません。

そうした経験をしていても、人はそう簡単に見たくないものから目を背けることをやめることはできません。

人やもの、出来事などの助力がなければ、現実と向き合うのはどうしたって困難なものです。

眼差しををまっすぐお母上に向ける力を添えてくれたのが、まめさんにとってはこの本だったのでしょう。

「考えたくないことではありますが、いつ別れが訪れても後悔しないように親との時間を大事にしようと思いました」

 今では定期的に連絡をとるようになり、息子さんを連れて会いに行くことを心がけるようになったそうです。

本は無言ですし、強制してきませんが、いつだって本棚に静かにいてくれるだけで勇気になることもあるんですよね。

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自身も親となった今、まめさんはこの1冊を手に何を思うのでしょう。

 

いくつになっても僕たちは親からすれば子どもなんです 

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最後に両親と言葉を交わしたのはいつでしょうか。

まめさんがこの本で特に印象に残っている場面についても教えてもらいました。

 「(作者の)お母さんが亡くなる1週間前、まだ結婚していなかった作者と交際相手に、病院のベッドの上で結婚を後押しする手紙を書くシーンがあります。意識が朦朧とする中、愛する息子のために必死に筆を走らせるのですが、思わず涙しました」

かく言うまめさんご自身は、当時闘病中だったお父上に結婚の報告をした際に、カタコトの言葉でのお祝いの言葉を贈られたのだそうです。

必死に気丈に振舞っていたお父上の姿が、作中の場面と重なり強く印象に残っているのだといいます。

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いつも家族のことを気にかけているまめさんのまなざしは優しいものでした。

そんなまめさんも今ではご自身が父親に。

守るべき家族ができたとはいえ、1人の息子として生きる時間はまだ残されています。

その時間を、まめさんはどう生きていくのでしょうか。

家族、両親に思いを巡らせる時にそばにいてくれる本と出会えたまめさんのことですから、何も心配はいらないでしょうね。

 

 撮影を終えて

「明るくて楽しい本ではないので、あまり読み返すことはしていません」

確かに、と頷くほかないです笑

撮影の合間にパラパラと眺めただけで、涙がこぼれそうになりました。

危険です。

初対面の方のお宅で号泣するところでした。

「ただ、母がメールで少し弱気な言葉を言う時があると、つい読んでしまう時があります」

優しい、本当に優しい人です。

そんな人ですから、必ずやってくる「その日」と向き合うのは並大抵のことではないと思います。

それでも、向き合い続けるまめさんの瞳に、単純な言葉では言い表すことができないような強さが見えたような気がしました。

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いつか訪れるその時のために。

 

というわけで第4回目のホントレートはここまで。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

今後も素敵な人や本との出会いを期待して、バイバイ!

 

※本当にたまたまですが、今回まめさんが選んだ『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』が映画化され、2月22日に公開されたようです。