Books だらり庵

面白かった本、訪ねた本屋さん、撮った写真なんかについてだらだら綴ります。ごゆっくり。

あなたの「撮っておきの1冊」を教えてください! ホントレート6撮目

皆さん、こんにちは。

今日もだらだらしてますか?

どうも、だらり庵 庵主のクロギタロウです。

 

「人生に寄り添う1冊を楽しむ人の様子を写真に残したい」

そんな想いと共にスタートした撮っておきの1冊「本とあなたのポートレート」、略して「ホントレート」

6回目となる今回は、兵庫県在住の書評家さんご紹介の1冊です。

書評家さんといえば、数多くの本と日々向き合っている、いわば本読みのプロ。

膨大な数の本と出会ってきた方の選ぶ本が一体なんなのか、気になりますよねえ。

実はその1冊、なんと誰もが知るあの名作でした。

とても素敵なお話を伺うこともできました。

さてさて、どんな「撮っておきの1冊」なのか、早速教えてもらいましょう!

 

お話を伺った人

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みずもとこのむさん

神戸大学理学部物理学科卒。大学卒業後、教育系出版社に入社。その後、様々な職種を経てフリーライターへ転身。これまで様々な案件の企画・取材・執筆を行う。新聞社Webサイトに書評を寄稿したり、選書記事を連載したり、本にまつわるあれこれの仕事にも携わる。理系ライターとしても活動中。ライフワークは多様な生き方に焦点を当てること。 

 

何度読み返したことか。そしてこれから何度読み返すことになるのか。

「これは絶対に買い直しのきかない1冊なのです」

そんな言葉から始まったみずもとさんのホントレート。

彼女が取り出したのはサン=テグジュペリ星の王子さま

言わずと知れた世界的な名作です。

数え切れないほどの本との出会いを経験してきた書評家さんのチョイスとしては、少し意外に思ってしまいましたが、お話を伺っているうちに、この1冊は紛れもなくみずもとさんの「撮っておきの1冊」なのだと感じました。

みずもとさんが『星の王子さま』と出会ったのは小学校1年生の頃。

王子さまが眠っていたのは、お父様の本棚の中だったそうです。

蔵書の中からみずもとさんがこの1冊を手に取ったのは、小さな子どもでも読めるタイトルであったことが幸いしたのかもしれません。

運命の出会いを果たしてから、どれだけの時間が流れたでしょう。

今ではこの1冊は「棺に入れてほしい」ほどの存在になっているのだそう。

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とても年季の入った1冊です。

短期留学をした時にも、住む場所が変わっても『星の王子さま』と離れることはなかったというみずもとさん。

面白いことに、この1冊だけは居場所が本棚ではないのだそうです。

「思いがけないところにいることもあります」と水本さん。

王子さまがどこにいるのかは、その時々によって変わるのだといいます。

 本は本棚、そう思いがちですが、特別な本との付き合い方は人それぞれにあるものなのですね。

 

揺らいだっていい。私にはこの本があるから。

どんなに強く見える人でも、時には気持ちが弱ってしまうこともあるでしょう。

僕は、みずもとさんとお会いして非常にしなやかな印象を抱きました。

そんな彼女の「この本は自分が揺らぎそうになった時に読むのです」という言葉には少なからず驚きました。

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どこに行こうとも一緒にいる1冊です。

自分の選択がこれで良いのか迷った時、自分は間違っていないだろうか、そんな不安に襲われた時にそばにいてくれる『星の王子さま

初めての出会いから何度読み返したかわからないこの1冊は、その都度違う星の人たちの言葉が心に響くのだといいます。

王子様が自分の星を旅立った先で出会う人々は、何度読もうが変わりません。

セリフだって変わりません。

本なのですから、当たり前のことです。

それでも、読み返すたびに新しいメッセージをくれるのもまた、本ならでは。

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「読むものがない時に読む本ではないのです」という1冊。まさにパートナー。

 

不可分であるとうこと。

みずもとさんに『星の王子さま』と出会っていなかった場合のことについて考えてみてください、と訊ねてみました。

「当たり前のようにそばにいるから、想像できませんね。考えたこともありませんでした」と、少し考え込んで、苦笑しつつのお答え。

そうですよね、と僕も苦笑するしかありません。

それでも、こう続けてくれました。

「たとえ子どもの頃に出会っていなかったとしても、それでもいつか私はこの本と巡り合っていたと思います。私にとって『星の王子さま』はそういう本なのです』

こんな答えが出てくるほどに『星の王子さま』のことを想う水本さん。

愚問でした。

みずもとさんにとって、もはやご自身の一部になっているような本なのでしょうね。

羨ましいことです。

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これほど大切にされているということを知ったら、テグジュペリは何と言うでしょうか。

 

撮影を終えて

書評を書くお仕事をされているみずもとさんですが、お話を伺う中で、もしも『星の王子さま』のレビュー依頼が舞い込んだとしたらどうなるだろうかという話題になりました。

「書けないでしょうね。書けない。お仕事としての依頼が来ても、です」

諦めたようにおっしゃるみずもとさん。

書評を書く時には自分の心をフラットにして本と向き合わなくてはならないのだそうです。

どこまでも平坦に、そして丹念に書かれている内容を追い、私情を交えずに書き切らなくてはならない。

それすらも不可能なほどに『星の王子さま』とみずもとさんとは、あまりにも深く結びついてしまったのでしょう。

それが幸福なことなのか、不幸なことなのか。

星の王子さま』を穏やかな表情で読み進めるみずもとさんを見ていると、そんなことは考える必要もないことだろうな、そんなことを思いました。

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心の処方箋のような、そんな1冊だといいます。

というわけで第6回目のホントレートはここまで。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

今後も素敵な人や本との出会いを期待して、バイバイ!

 

 

 

あなたと大好きな1冊の姿を写真に残しませんか?

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taroimo0629kuro@gmail.com

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