Books だらり庵

面白かった本、訪ねた本屋さん、撮った写真なんかについてだらだら綴ります。ごゆっくり。

あなたの「撮っておきの1冊」を教えてください! ホントレート11撮目

皆さん、こんにちは。

今日もだらだらしてますか?

どうも、だらり庵 庵主のクロギタロウです。

 

「人生に寄り添う1冊を楽しむ人の様子を写真に残したい」

そんな想いと共にスタートした撮っておきの1冊「本とあなたのポートレート」、略して「ホントレート」

 

11回目となる今回は、浅草育ちの街歩きエッセイストの女性が教えてくれた1冊です。

彼女の優しさの秘密を垣間見たような気がした取材となった今回のホントレート 、一体どんな「撮っておきの1冊」だったのか、早速教えてもらいましょう!

 

 

お話を伺った人

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チヒロさん

1981年生まれ。下町の魅力を発信するWebマガジン「かもめと街」編集長。散歩好きの女性に向けて書かれたエッセイを世に送り出すため、年間300軒以上のお店をめぐり歩く。drip認定バリスタ/Hanako.tokyo・シティリビングWeb・cocoroneなどでライターとしても活動。

www.kamometomachi.com

 

幾度も見上げた銀色の星空

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「ここに来る直前までどれにしようか悩んでいたんです」

そう言ってチヒロさんが取り出したのは表紙のデザインが美しい、宮沢賢治『星の童話集』

あまり見かけない銀色の表紙に思わず見とれてしまいました。

よだかの星」「双子の星」「鳥の北斗七星」の3作品が収録された童話集の中でも、チヒロさんが特に大事にしているのは「よだかの星」なのだそうです。

中学生の頃に大好きだった俳優さんが主演を務めた『銀河鉄道の夜』の舞台を観劇したのをきっかけに、宮沢作品をきちんと読んでみようと思ったんだとか。

その時に読んでいた文庫版の『銀河鉄道の夜』に、「よだかの星」も収録されていたのが、チヒロさんとこの物語の出会いでした。

その後奥多摩のカフェでこの童話集と出会い「なにこの素敵な装丁は!」と魅了されたのだそうで、長い間入手する機会を待っていたんだとか。

そんなチヒロさんが、この本と再開したのは長野県のコーヒー屋さん。

たまたまお店の2階で開催されていた古本市で、『星の童話集』を見つけて、即購入されたそう。

「うわーってなって、うわーって買いました。運命だと思います」

と興奮気味に語るチヒロさんは本当に嬉しかったのでしょう。

頬が上気しているようでした。

ちなみに、チヒロさんが直前まで悩んでいた1冊というのがいしいしんじプラネタリウムのふたご』

星や双子というテーマに弱いのだと微笑むチヒロさん。

その気持ち、わかります笑

 

可哀想、なだけじゃない

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読書好きなチヒロさんが好むのは、ハッピーエンドな物語。

それでも、心に強く残るのはなぜか悲しい終わり方をする作品なのだといいます。

よだかの星」もそんな作品の1つ。

優しい心を持つものの、その容姿と名前を理由に周りの鳥たちに疎まれているよだかが、世を儚んで夜空に向かって飛んでゆき、星になるまでを描いた悲しいお話です。

子どもの頃には、星になるしかなかったよだかが可哀想だと思うだけだったというチヒロさん。

弟のカワセミのように、慕ってくれる者もいるのに、どうして彼らを大事に思い、共に生きることができなかったのだろう、と思うようになったのだそう。

周りからの声で、よだかに精神的な負荷がかかっていたのは確かでしょう。

チヒロさん自身も、大人になるまでは周りにどう見られるかを常に気にする人だったそうで、よだかの気持ちもよく分かるといいます。

それでも今は、自分のことを好きでいてくれる人、自分の好きな人のために頑張りたいという気持ちが強いというチヒロさん。

反面教師ではないですが、そうしたところでもチヒロさんの心の中に「よだかの星」がいるのでしょう。

 

なんでなんだろう、の先に自分が見える

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登場人物がそんなことをしたり、言ったりしたのは何故なんだろうと考える余地がある小説が好きだというチヒロさん。

そういう視点で今回「よだかの星」を読み返して「あっ」と思ったシーンがあったのだそうです。

それは空に向かって飛ぶよだかの口に虫が飛び込んでくる場面。

星になるまでを描く途中で、ストーリーの展開上必要だとは思えないシーンが挿入されているのです。

このシーンにチヒロさんは、罪悪感が描かれていると読み取ったのだといいます。

大人になれば誰だって気付く、生きるということは何かしらの命を頂いて自分を明日につなげていくことなのだと。

子どもの頃にはそんなこと気付きもせずに、何でこんな場面があるのだろうと思っていた箇所も、大人になった今なら分かります。

「もっと日々感謝して生きなきゃな、という気持ちにさせてもらいました」

そう言ってページを閉じ、表紙に目を落とすチヒロさん。

視線の先には、銀色の夜空で1番の輝きを放つよだかが翼を広げていました。

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撮影を終えて

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東京に遊びに行く時には、(主にランチ面で)いつも参考にさせてもらっている「かもめと街」の編集長チヒロさん。

この企画が動き出した段階で、絶対に撮っておきの1冊についてのお話を伺いたいと思っていたうちの1人です。

僕がお話を伺っているはずなのに、いつの間にか僕の方が喋ってしまっていたりと、なんだか妙な感じになってしまったのは、チヒロさんの穏やかさに感染してしまったからでしょうか。

チヒロさんの優しさが感じられる1冊についてのお話を伺うことができてよかった。

チヒロさん、ありがとうございました!

 

というわけで第11回目のホントレートはここまで。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

今後も素敵な人や本との出会いを期待して、バイバイ!

 

 

 

あなたと大好きな1冊の姿を写真に残しませんか?

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taroimo0629kuro@gmail.com

メールの件名を「撮っておきの1冊 ホントレート希望」としていただけますとありがたいです。