Books だらり庵

面白かった本、訪ねた本屋さん、撮った写真なんかについてだらだら綴ります。ごゆっくり。

あなたの「撮っておきの1冊」を教えてください! ホントレート19撮目

皆さん、こんにちは。

今日もだらだらしてますか?

どうも、だらり庵 庵主のクロギタロウです。

 

「人生に寄り添う1冊を楽しむ人の様子を写真に残したい」

そんな想いと共にスタートした撮っておきの1冊「本とあなたのポートレート」、略して「ホントレート」

 

19回目となる今回は、高スペックながらそれを全く活かそうとせずに、ヒモになりたいと豪語するネットラジオパーソナリティの方が教えてくれた1冊です。大好きな作者さんの宣伝ゴリ押しかと思いきや、合間にはさむ作品への愛に胸が熱くなりました。いったいどんな「撮っておきの1冊」だったのでしょうか、早速教えてもらいましょう!

 

 

お話を伺った人

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Tomおじさん

戸籍はバツイチ、ヒモを夢見る平成生まれ。東京都在住。ネットラジオ「僕はヒモになりたいラジオ」を運営。アンチワークの堂々たる振る舞いに畏敬の念を抱くファン多数。この世で使いこなせるのが彼しかいないという名機X100F(Tomおじさん仕様)で撮られた伝説の記事「僕と彼女と、X100F」は必読。

note.mu

www.selfish-father.com

 

恋愛の機微なんてわからなくても楽しめた1冊

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自分の大好きな歌手やアイドル、芸能人が関わったことがきっかけで作品に触れるというのは結構あるあるだと思うのですが、Tomおじさんが「撮っておきの1冊」『ハチミツとクローバー』と出会ったのもそれがきっかけだったようです。中学2年生だったTomおじさんと『ハチクロ』を引き合わせたのは、ロックバンドJUDY AND MARYで当時ボーカルを務めていたYUKIさんでした。ソロ活動始動後、彼女が3作目のアルバムをリリースした頃に「どハマりした」というTomおじさん。それを知っていた女子が彼に『ハチミツとクローバー』をオススメしてくれたのだそう。ちょうどその頃『ハチミツとクローバー』がアニメ化され、オープニングテーマがYUKIさんの楽曲だったんですね。懐かしい。

それにしても『ハチミツとクローバー』は言わずと知れた名作ですが、思春期真っ只中の中学生男子に向けて少女漫画をオススメするとは女子生徒、なかなかやりますね笑

当のTomおじさんはというと、妹が2人いるので少女漫画を読むことに抵抗はなかったといいます。

「当時は恋愛の機微なんて分かってなかったけれど、ネタやギャグも多くて面白かった。それもあって男子も読みやすいと思う」とのこと。

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ハチクロ』には、大人の視点から見た青臭さをネタにしたシーンも頻繁に登場するのですが、当時のTomおじさんにはその面白さも分かっていなかったようです。それでも、青臭さやいらないプライドを身にまとったままの状態のことをさす「青春スーツ」のようなネタの面白さも、年を重ねるほどに分かってきたといいます。

少女漫画といえば恋愛というようなイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、それだけではないんですね。

「何度読んでも味がある漫画だと思っている。いろんな面白さに出会える漫画」とTomおじさん。激しく同意です笑(何を隠そう僕も『ハチクロ』大好きなのです)

 

「天才じゃない人から見た天才の姿を描く天才」

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Tomおじさんが持ってきてくれたのは、登場人物が楽しげに将棋盤を囲んでいる表紙が素敵な、第9巻でした。全10巻の中から、特に9巻を選んだのにはちゃんと理由があるようです。

「ギャグとかが面白いのは5・6・7巻ぐらい。登場人物が仲良くなっていくところも面白いんだけど、シリアスに突入するのが9巻。ブチ抜けてシリアスなのよ笑」

え、シリアスなのが好きなの? この人変態? と思われた方、ちょっと待ってください。詳しくはネタバレになってしまいますので、なんとなーく伝わるように言葉を選ぶと、Tomおじさんの心を揺さぶったのは「持つ者」と「持たざる者」をテーマにしたエピソード。それまで「持たざる者」の視点で描かれた漫画に出会ったことがなかったというTomおじさん。ちょうどこの9巻を読んでいた当時、めちゃめちゃに挫折し、打ちひしがれていたのだそう。ちょうど就職活動やなんやかんやの時期に「うわ、俺なにも持ってねえな…」という状態に陥り、涙ながらに読んでいたといいます。

いやあ、分かります。「持たざる者」の姿を描いたシーンがある漫画を何冊か読んできた今思うのですが、羽海野チカ先生は別格です。ここはTomおじさんに非常に共感してしまいます。

羽海野チカ先生はそもそも天才ではない。ないんだけど天才じゃない人から見た天才を描くのが天才的に上手い」と絶賛するTomおじさん。わかる。

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現在連載中の羽海野先生の将棋漫画『3月のライオン』でも、天才の周りでもがき苦しむ棋士の姿を描くのが1つの軸になっていると語るTomおじさん。やはりその描写が「エグいぐらいに刺さる」のだそうです。

「結局答えは出ない。いつから持ってないのか、どこで道が分かれたのか、ずっと自問自答しながらもがき苦しみ続ける……暗い!めっちゃ暗い話になってしまってる!」

いいんですよ、いいんです。Tomおじさんの真剣な話が聞きたいんです。そう言って話の続きをうながします。

「バッドエンドが好きなんだよねえ」

まだ暗くするんかい、と思わずツッコミかけましたが、ちゃんとお話を聞くと変態ではありませんでした。ついつい苦しんでいる側に感情移入してしまうのだというTomおじさん。バッドエンドを求めているわけではなく、苦しんでいるキャラクターに寄り添ってしまうんですね。「ハッピーエンドのありきたり感よりはそっちの方がいい」んだそう。

少女漫画ですからそこまで描く必要なんてないのに、「40ぐらいのオッサンの内なる苦悩を描いている」んですよね。掲載誌はよく載せたと語るTomおじさん。確かに。色々と破天荒な『ハチクロ』の魅力は語りつくせませんね。

 

衝動の原点

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就職活動といえば、主人公の竹本くんが大苦戦するのですが、そんな彼の影響を受けてTomおじさんは原チャリで北海道を1周したというから驚きです。自分探しとかそういうことでもなく、単純に稚内がどんなところなのか見に行きたくなって行動に移してしまったTomおじさんは言います。「この漫画が自分の中の衝動の原点になっている」と。

漫画を読んで北海道沿岸をぐるっと周ってしまうなんて、影響の受け方のスケールが大きすぎだと思います笑

もしも『ハチミツとクローバー』に出会っていなかったら、まだ青春スーツを着たままだろうなと、Tomおじさん。自分以外も持たざることにこんなに苦しんでいるのかという共感も得られていなかっただろうとも。

Tomおじさんの悩みを凝縮、漫画として具現化・昇華している『ハチミツとクローバー』 いい歳したおじさんがなに言ってるんだとお思いのあなた、読んでみるといいですよ。思い知ります。

 

撮影を終えて

ハチクロ』の中で好きなキャラは?と尋ねてみると、誰を選んでも恥ずかしい、漫画のキャラって自分を投影してるようになるからと笑うTomおじさん。このインタビューの様子を、運営している「僕ヒモラジオ」で公開すると更に恥ずかしさがつのるかもよ?とは口にせずに楽しみにしています。この記事と同時に公開される「僕ヒモラジオ」で、僕が普段どんな風にインタビューをしているのかも覗き見できますので、ぜひ記事と合わせてお楽しみください。

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というわけで第19回目のホントレートはここまで。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

今後も素敵な人や本との出会いを期待して、バイバイ!

 

 

 

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